植田寿之著『対人援助のスーパービジョン〜より良い援助関係を築くために〜』、中央法規、2005年
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内容
この本は、実践的にスーパービジョンを学ぶ際に役立ちます。すなわち、スーパービジョンに関する個々の項目の説明後に、演習課題がついており、その演習を行うなかで多様な気づきが促されるようになっているからです。
そして、演習課題の設定には、工夫が施されています。例えば、「演習1-1」(p.32)では、業務上のストレスを感じたときの対処法を書き出すのですが、@個人レベル、A集団レベル、B組織レベル、C組織を超えたレベルでの方法と、自ずと考える視点が多様になるように設定されてあります。同じように、「演習3-3」(p.110)で事例の課題を整理する際のシートには、@組織の問題、A職員集団の問題、BA個人の問題、C主任の問題、Dその他の問題に書き分けるようになっています。このように、この本にそって勉強しワークに取り組むことにより、取り組んだ人のスーパービジョンになるのです。
適切なスーパーバイザーがいればベターですが、そうでない場合も多いのではないでしょうか。そんな時の強い味方として、実践者や学生むけに活用してほしい1冊です。
また、第4章の「スーパービジョンにおけるパラレルプロセスの適用」では、スーパーバイザーとバイジーとの関係を援助者と利用者との関係とパラレルであることについて展開しており、好ましくないパラレルプロセスと好ましいパラレルプロセスの記述には関心をそそられます。同時に、メアリー・ゲイル・フローリー=オーディら著(2010)『新しいスーパービジョン関係〜パラレルプロセスの魔力〜』福村出版の「第8章 パラレルプロセスについて再考する」(ただし上級者向け)を読むと、この点についてより理解が深まることでしょう。
目次
序章 スーパービジョンは行われていたのか
第1章 スーパービジョンはなぜ必要なのか
第2章 スーパービジョンはどのような形で行うのか
第3章 スーパービジョンをどのように行うのか
第4章 関係を通してスーパービジョンを行う
第5章 スーパービジョン体制を整える
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