2013年8月・9月の3冊 本文へジャンプ
今回は、面接に関連する本をご紹介します。


 福原眞知子、アレン・E・アイビイ、メアリ・B・アイビイ著『マイクロカウンセリングの理論と実践』、風間書房、2004年


内容

 面接技法について、人に伝える機会がけっこうあります。大学でのソーシャルワーク演習のみならず、社会人を対象とした研修も年に数回は行っています。
 そこでまず出てくる訓練方法が、マイクロカウンセリングでしょう。多くのソーシャルワーク演習のテキストにも取り上げられ、日本ではよく知られる方法です。カウンセリング技術を個々の単位に分解し、一つ一つマスターして次の段階に進むというやり方です。実は私は、マイクロカウンセリング研究会の頃からの会員であり、現在のマイクロカウンセリング学会の学会員でもあります。そのため、時々、学会が主催する研修会に参加して自分のメンテナンスを行っています。分かっているようでも、やはり研修を受けると発見することが多いですね。
 この本は10年前に出版されたものですが、マイクロカウンセリングの技法のみならず、背景や哲学、汎用、事例場面における適用に及ぶまで幅広く展開されており、総合的な理解のためには役立つでしょう。演習や研修受講者に、ぜひ目を通してほしい一冊です。もちろん、この本以外にも「マイクロカウンセリング」と名のつく本は沢山出版されていますので、参考にしてください。
 演習や研修ではその場で面接技法を伝えることはできても、修得するには、やはり日々の意識的な活用と練習が欠かせないと思います。学び→使い→振り返り→学ぶ、このサイクルが大事なのではないでしょうか。


目次


Preface―Allen E.Ivey Mary B.Ivey

はじめに―福原眞知子

第1章 カウンセリングとサイコセラピイ(心理療法)

第2章 マイクロカウンセリングとは
(1)歴史と展開
(2)マイクロカウンセリングのカウンセリングにおける位置づけ―メタモデル―
(3)マイクロカウンセリングの特徴
  1)意図性
  2)基本的傾聴技法の連鎖
  3)共感
  4)肯定的資質
  5)トレーニング
  6)その他

第3章 マイクロカウンセリング技法
(1)マイクロカウンセリング(マイクロ)技法
  1)かかわり行動/かかわり技法
   1かかわり行動
   2クライエント観察技法
   3質問技法
   4はげまし・いいかえ・要約技法
   5感情の反映技法
  2)積極技法
   1指示技法
   2情報提供/アドバイス/意見/サジェスチョン/助言
   3自己開示技法
   4論理的帰結
   5解釈技法
   6フィードバック技法
  3)対決技法
  4)焦点のあて方技法
  5)意味の反映技法
  6)技法の統合
(2)マイクロ技法のトレーニングとスーパービジョン
  1)トレーニング
  2)スーパービジョン

第4章 マイクロカウンセリングの背景、哲学
(1)人間の発達とマイクロカウンセリング―発達心理療法の視点から
  1)発達とは
  2)発達とマイクロカウンセリングの介入
(2)人間の存在とマイクロカウンセリング―多重文化の視点から

第5章 マイクロカウンセリングの研究
(1)カウンセリング/サイコセラピイの研究
(2)マイクロカウンセリング研究の紹介
(3)研究からいえるマイクロカウンセリングの効用

第6章 マイクロ技法の汎用
(1)問題解決
  1)カウンセリング心理学的アプローチ
   1キャリアカウンセリング(意志決定モデル)
   2自己効力・発達援助
   3ブリーフソリューションアプローチ
  2)サイコセラピイ/臨床心理学的アプローチ
   1ストレスマネジメント
   2トラウマ
(2)グループアプローチ
(3)サイコエデュケーション
(4)カウンセリング/サイコセラピイへの展開―意味の反映技法を中心として―
  1)実存的・ヒューマニスティックアプローチ
  2)精神力動的アプローチ
  3)行動主義的アプローチ
  4)多重文化的アプローチ

第7章 マイクロカウンセリングの現場―事例場面におけるマイクロ技法の適用
(1)家庭
(2)教育(学校)
(3)企業
(4)施設(医療・福祉)
(5)国際…

第8章 マイクロカウンセリングの教育的意義
(1)カウンセリングの教育的意義
(2)マイクロカウンセリングの教育的意義

おわりに

References

索引



M・ハーセン、V・B・ヴァンハッセル著、深澤道子監訳『臨床面接のすすめ方〜初心者のための13章』、日本評論社、2001年


内容

 先日もある団体で面接に関する研修を行った際に、まずはラポールの形成だろうと、分かりやすく解説してある本を探していたところ、この本を見つけました。というか、本棚に眠っていました。
 「第3章 ラポール、共感、リフレクション」では、ラポール形成を具体的なセラピストのテクニックとして、いくつかの事例をまじえて紹介している点がわかりやすかったです。
 また、「第9章 防衛的になることへの対処」もなかなか面白かったです。ラポール形成の際に知っておくべきことが、クライエントの防衛規制であり、なぜクライエントは防衛的になるのか、それにどのように反応すればよいのか等々が展開されています。
 社会福祉士国家試験の科目に心理学があり、防衛機制についても勉強すると思います。その時は、個々の知識としてしか認識されていなかったのですが、臨床場面ではそれらを総動員しながら相手に対応する必要があります。そのため、基礎知識を学ぶことは大事なんだということを思い出させられました。



目次


第1章 臨床面接全般に関する問題点
第2章 面接の始まりと守秘義務
第3章 ラポール、共感、リフレクション
第4章 主訴の歴史
第5章 生育歴
第6章 病歴
第7章 精神状態の査定
第8章 インテーク面接のまとめ方
第9章 防衛的になることへの対処
第10章 多弁なクライエントに対処する
第11章 面接を終わらせる
第12章 いつ紹介するのかを知る
第13章 医療ターゲットを定める



ローレンス・M・ブラマー、ジンジャー・マクドナルド著、堀越勝監訳『対人援助のプロセスとスキル〜関係性を通した心の支援〜』、金子書房、2011年

内容

 この本は、対人援助の過程とスキルについて書かれているものであり、面接技法に限定したものではありません。ですが、「第4章 理解のための援助スキル」がわかりやすかったので、先日の研修で活用しました。
 ここでは、相手の理解の仕方について、次の7項目からまとめています。「スキルのタイプ1:聴くこと」「タイプ2:導くこと」「タイプ3:反映」「タイプ4:挑戦」「タイプ5:解釈」「タイプ6:情報提供」「タイプ7:要約」。これらについて、私なりに本から内容を抜粋して作成した資料を添付しておきます。
 とはいえ、初心者もしくは新人さんに、これらの技術を全て短時間で伝えるのは無理がありますね。オーバーティーチングになってしまい、消化不良を起こすでしょう。
 やはり面接技法は、時間をかけて一つ一つマスターしていくのが良いと思います。


目次


序文 
第1章 援助:その意味について
 あなたの援助に対する見方は?
 援助過程
 相談者の成長を促す
 責任
 同意に基づいた援助
 援助者のニーズに沿うということ
 全人的健康と至高の機能性を求める
 動機:援助者になるべきか否か
  社会貢献/サービスの精神/援助者の問題解決と関連した援助/熟達者になる
 科学か? アートか?
 援助の効力
 プロフェッショナルとパラプロフェッショナル
コミュニティ援助
 ピア援助と世代間援助
 自助グループ
  援助者が得るもの
 援助とは自助のための対処スキルを獲得させること
 理解、支援、活動の援助スキルモデル
  2段階の援助モデル/スキルの分類
 より深く学ぶために

第2章 援助者の特徴
 なぜ援助が人々の成長の助けになるのか?
 援助者の機能レベルとそのスタイル
  援助と援助者のライフスタイル/援助者と相談者の相性/成長を促進する役割としての援助者
 援助者の性格
  援助者の性格特徴/学者‐研究者としての援助者
 結論
 より深く学ぶために

第3章 援助過程
 関係
  関係における次元
 経験としての援助過程
 援助過程の段階
  段階1:開始 /専門的な関係を開始する/段階2:明確化 /段階3:構造/段階4:関係/段階5:探索/段階6:統合/段階7:計画立案/段階8:終結
 段階的に考えることについてのジレンマ
 より深く学ぶために

第4章 理解のための援助スキル
 スキル訓練の理論的な根拠
 スキルのタイプ1:聴くこと
  寄り添うこと/言い換えること/明確にすること/現実検討
 スキルのタイプ2:導くこと
  質問/間接的な導き/直接的な導き/焦点化
スキルのタイプ3:反映
  感情の反映/経験の反映/内容の反映/反映技法の典型的な誤り
 スキルのタイプ4:挑戦
  援助者の感情を認識する/感情を説明し共有する/フィードバックと他者からの意見/自分に挑戦する
 スキルのタイプ5:解釈
  解釈的な質問/空想と隠喩による解釈/解釈のレベル
 スキルのタイプ6:情報提供
  情報提供/助言
 スキルのタイプ7:要約
  より深く学ぶために

第5章 喪失と危機における援助スキル
 問題となる人的状況
  人生の転機/家族の危機
 言葉の定義
  ストレス/危機/支援/希望と絶望/強烈な悲嘆
 危機的状況での援助方法
  危機介入のステップ/多面的支援/希望の形成と維持/回復と成長の方略/危機センター/社会復帰訓練施設/治療センター/治療的なカウンセリング方略/なぐさめるという技術
 支援と危機管理のためのスキル
  間接的に触れ合うスキル/安心を与えるスキル/リラックスさせるスキル/中心化のスキル/代替案の構築/紹介するスキル/支援システムの刷新または構築/予防
 より深く学ぶために

第6章 積極的活動と行動変容の援助スキル
 援助に対する行動的アプローチ
  特徴とモデル/応用
 問題と目標
  問題は目標に変化する/目標設定における困難/目標達成とその後
 問題解決、意思決定、計画立案
  論理的問題解決過程/論理的問題解決に求められるスキル/直観的問題解決におけるスキル
 行動変容
  行動変容法の前提/行動変容方略/モデリング/報酬スキル/消去スキル/契約スキル/嫌悪コントロール法を用いたスキル/脱感作法を用いたスキル
 より深く学ぶために

第7章 援助関係における倫理的問題
 倫理とは何か?
  法律と倫理の違い
 援助者のセルフケア
 倫理と対人関係
  多重関係/相談者との身体的接触
 援助者の能力と限界
  インフォームド・コンセント
 緊急・危機における対応
 より深く学ぶために

第8章 援助過程についての考察
 道しるべとしての理論
 個人的な理論の有用性
  理論を構築する/援助理論の有用性と限界
 援助過程の一般的理論
  折衷/統合系の介入法/精神分析系の介入法/現象学系の介入法/行動主義系の介入法/論理・認知療法系の介入法/コミュニケーション系の介入法/ライフスタイルを通しての介入法/家族療法系の介入法/異文化に配慮した介入法
 社会的な問題
  価値観の問題/政治的な問題/宗教的な問題とスピリチュアルな問題/経済的な問題:マネージドケアについて/技術的な問題
 援助スキルの理論と実践をつなぐ
  ニーズ/学習/気づき/コミュニケーション
 相談者が変化を見せない時
 集団を通しての援助
個人的あとがき
 より深く学ぶために

文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引





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