福原眞知子、アレン・E・アイビイ、メアリ・B・アイビイ著『マイクロカウンセリングの理論と実践』、風間書房、2004年
|
内容
面接技法について、人に伝える機会がけっこうあります。大学でのソーシャルワーク演習のみならず、社会人を対象とした研修も年に数回は行っています。
そこでまず出てくる訓練方法が、マイクロカウンセリングでしょう。多くのソーシャルワーク演習のテキストにも取り上げられ、日本ではよく知られる方法です。カウンセリング技術を個々の単位に分解し、一つ一つマスターして次の段階に進むというやり方です。実は私は、マイクロカウンセリング研究会の頃からの会員であり、現在のマイクロカウンセリング学会の学会員でもあります。そのため、時々、学会が主催する研修会に参加して自分のメンテナンスを行っています。分かっているようでも、やはり研修を受けると発見することが多いですね。
この本は10年前に出版されたものですが、マイクロカウンセリングの技法のみならず、背景や哲学、汎用、事例場面における適用に及ぶまで幅広く展開されており、総合的な理解のためには役立つでしょう。演習や研修受講者に、ぜひ目を通してほしい一冊です。もちろん、この本以外にも「マイクロカウンセリング」と名のつく本は沢山出版されていますので、参考にしてください。
演習や研修ではその場で面接技法を伝えることはできても、修得するには、やはり日々の意識的な活用と練習が欠かせないと思います。学び→使い→振り返り→学ぶ、このサイクルが大事なのではないでしょうか。
目次
Preface―Allen E.Ivey Mary B.Ivey
はじめに―福原眞知子
第1章 カウンセリングとサイコセラピイ(心理療法)
第2章 マイクロカウンセリングとは
(1)歴史と展開
(2)マイクロカウンセリングのカウンセリングにおける位置づけ―メタモデル―
(3)マイクロカウンセリングの特徴
1)意図性
2)基本的傾聴技法の連鎖
3)共感
4)肯定的資質
5)トレーニング
6)その他
第3章 マイクロカウンセリング技法
(1)マイクロカウンセリング(マイクロ)技法
1)かかわり行動/かかわり技法
1かかわり行動
2クライエント観察技法
3質問技法
4はげまし・いいかえ・要約技法
5感情の反映技法
2)積極技法
1指示技法
2情報提供/アドバイス/意見/サジェスチョン/助言
3自己開示技法
4論理的帰結
5解釈技法
6フィードバック技法
3)対決技法
4)焦点のあて方技法
5)意味の反映技法
6)技法の統合
(2)マイクロ技法のトレーニングとスーパービジョン
1)トレーニング
2)スーパービジョン
第4章 マイクロカウンセリングの背景、哲学
(1)人間の発達とマイクロカウンセリング―発達心理療法の視点から
1)発達とは
2)発達とマイクロカウンセリングの介入
(2)人間の存在とマイクロカウンセリング―多重文化の視点から
第5章 マイクロカウンセリングの研究
(1)カウンセリング/サイコセラピイの研究
(2)マイクロカウンセリング研究の紹介
(3)研究からいえるマイクロカウンセリングの効用
第6章 マイクロ技法の汎用
(1)問題解決
1)カウンセリング心理学的アプローチ
1キャリアカウンセリング(意志決定モデル)
2自己効力・発達援助
3ブリーフソリューションアプローチ
2)サイコセラピイ/臨床心理学的アプローチ
1ストレスマネジメント
2トラウマ
(2)グループアプローチ
(3)サイコエデュケーション
(4)カウンセリング/サイコセラピイへの展開―意味の反映技法を中心として―
1)実存的・ヒューマニスティックアプローチ
2)精神力動的アプローチ
3)行動主義的アプローチ
4)多重文化的アプローチ
第7章 マイクロカウンセリングの現場―事例場面におけるマイクロ技法の適用
(1)家庭
(2)教育(学校)
(3)企業
(4)施設(医療・福祉)
(5)国際…
第8章 マイクロカウンセリングの教育的意義
(1)カウンセリングの教育的意義
(2)マイクロカウンセリングの教育的意義
おわりに
References
索引
|
|