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ここでは、私が現在行っている研究を紹介します。(2019年4月現在)



<医療ソーシャルワーカーの業務継続中断を規定する個人と環境との相互作用に関する研究>

 すでに終了しましたが、日本学術振興会科学研究費・基盤研究(C)の補助事業による研究で、博士論文の続編の位置づけを持ちます。
 本研究では、医療ソーシャルワーカーとしての業務中断に影響を及ぼす、個人と環境との相互作用のあり方を明らかにすることを目的としています。
医療ソーシャルワーカーの業務継続中断への効果的な対応策を検討するために、欠かせない作業だと考えています。
 量的研究(重回帰分析・共分散構造分析)と質的研究(KJ法)の両方から、「積極的理由」と「消極的理由」での業務継続中断の詳細を明らかにし、論文を執筆しました。先日、ある出版社の企画会議で承認されましたので、1年半後にはこれらの論文に基づく読みやすい本を出版する予定です。
 


<固有性・専門性の提示を目ざすベテラン医療ソーシャルワーカーの実践行動と根拠の解明>

 2017年度〜2020年度まで、日本学術振興会科学研究費・基盤研究(C)の補助事業を受けて取り組んでいる研究です。
 これまでコツコツ行ってきた医療ソーシャルワーカーの実践能力の研究を発展させてたもので、ベテランの実践行動と根拠の解明をねらっています。
 そして大事なのは「固有性・専門性の提示」を目ざすこと。ソーシャルワーカーならではの実践とは何か、能力とは何かを提示できるように頑張ります。
 研究方法は事例のメタ分析です。現在、数名のベテラン医療ソーシャルワーカーの調査が終わり、分析チームで分析を行っている途中です。引き続き調査を進めると同時に、学会で発表を行っていきたいと思っています。



<ソーシャルワーク演習教育のあり方についての研究>

 私が主催しているソーシャルワーク演習研究会を軸としながら、演習教育のあり方を考えています。また、学生に向けた演習教育のみならず、社会人に対するより良い演習(研修)のあり方も模索しています。演習・実習担当教員研修では、事例検討の方法について全国の教員に教授しています。
 これまで、演習担当教員に求められる力量や演習運営のなかで教員が感じる困難性についての論文を共同で執筆し、国際学会で発表してきました。
 2018年4月には、演習に関するテキスト『すぐに使える!学生・教員・実践者のためのソーシャルワーク演習』(ミネルヴァ書房)を出版しました。
 2019年度からは東海・北陸ブロックで実習演習研究会を立ち上げ、展開していく予定です。



<ヒューマンケアにおける包括的重層的スーパービジョンシステムの構築に関する研究>

 2019年度〜2022年度まで、日本学術振興会科学研究費・基盤研究(B)の補助事業を受けて取り組んでいる研究です。いくつかの研究グループにわかれて、全体的に包括的重層的なスーパービジョンシステムのあり方を研究していく試みです。
 そのうちの1つのチームとして、ソーシャルワーカーのスーパービジョンのあり方を考えています。2018年度は私のメインテーマでもあるソーシャルワーカーの実践能力指標開発に向けて、いくつかの県のソーシャルワーカーの職能団体会員に対して量的調査を実施しました。今後、集計、分析を行う予定です。
 なお別件ですが、認定社会福祉士認証・認定機構ではスーパービジョンの枠組を検討する委員会に所属しており、現在、グループスーパービジョンの制度設計を行っているところです。近いうちに、報告できる予定です。



<地域共生社会の実現にむけた地域包括支援体制構築の戦略〜0歳から100歳のすべての人が安心して暮らせる地域づくりをめざして〜>

 私が所属する日本福祉大学が2017年〜2019年にかけて、日本生命財団より40周年記念特別事業の助成金をもらい、取り組んでいる研究です。
 トータル11分科会があるうちの1つが、我々の地域包括ケアのアセスメントツール開発研究です。
 大学のある知多半島の5市5町と協働しながら、0歳から100歳までを対象とする地域包括ケアに資するアセスメントツールを開発中です。看護学部の先生ともご一緒しているため、福祉に留まらない支援も学べるのが面白いです。
 2019年9月には、一端研究に区切りがつくため報告を行う予定です。



<その他、研究以外の活動も含み関心があること・行っていること>

・北欧の医療ソーシャルワーカーの仕事について、視察・インタビューを行い論文にまとめてきました。これまで、フィンランド、ノルウエイ、スウェーデンに関する論文を執筆し学会でも報告してきました。2019年夏にはデンマークの病院に訪問するので、それをまとめる予定です。
・日本ソーシャルワーク学会で、ソーシャルワーカーの研究支援にむけた本『ソーシャルワーカーのための研究ガイドブック』(中央法規、2019)を出版しました。私は編集の取りまとめとして関わりました。今後は、 この本を活用しながら各地でのワークショップ開催を計画しています。
・日本社会福祉学会の若手・女性研究者支援検討委員会に所属し、若手・女性研究者の地位向上に向けた施策を検討しています。人文社会科学系学協会男女共同参画推進連絡会(通称ギース)の運営委員会にも参加しており、2018年3月には社会福祉学会の取り組みについてシンポジウムで報告しました
日本学術会議連携会員として、社会福祉分科会の他に法医学分科会に所属しています。法医学者のなり手を増やす方策を考えるチームです。社会科学分野からはなぜか私に声がかかり、医師の研究者にまじって参加しています。ドラマだけでしか知らなかった世界の話が聴けるのは、大変興味深い経験です。

 



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