岩田正美・小林良二・中谷陽明・稲葉昭英編『社会福祉研究法〜現実世界に迫る14レッスン〜』有斐閣アルマ、2006年
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目次
第1部 社会福祉研究とは何か
第1章 なぜ,何を研究するのか
第2章 現場の視点と研究の視点
第3章 先人に学ぶ――研究レビューの進め方とレビュー論文の書き方
第4章 研究の倫理
第2部 研究の設計と手順
第5章 研究をどう設計するか
第6章 仮説の構築と検証の手続き
第7章 研究資料の収集と分析
第3部 研究事例に学ぶ
第8章 量的調査データの実証分析
第9章 インタビューによる質的研究(現場から)
第10章 ミクロレベルの評価分析
第11章 メゾレベルの評価分析
第12章 計画研究
第13章 問題を政策と結ぶ研究
第14章 外国研究・国際比較研究
感想
ここ数年、雨後の筍のように、社会福祉の大学院が続々と誕生しました。大学院を修了した後に、研究者への途を進むにせよ現場実践者になるにせよ、大学院在籍中にはきちんと研究方法を習得し、論文を書くという作業を行わなければなりません。
そんな社会福祉研究のガイドラインになるのがこの本です。錚々たる研究者達によって多方面から研究方法について執筆されており、全国の院生の必読書といえるでしょう。
とりわけ私自身が興味深く読んだのは「Lesson2 現場の視点と研究の視点 現場における研究の意味」(小林良二氏執筆)でした。「現場からの発信」の可能性が展開されており、社会人院生やこれから大学院に進もうという現場実践者、大学院には進まないけれども自らの実践に基づく研究を行いたいと考えている人達にとって、勇気づけられる章だと思います。
とはいえ、現場実践と研究とは質的に異なる営みであること、研究には研究のルールや作法があること、そしてそれはなかなか奥深く、かつ醍醐味を伴うものであることが沁みてくる1冊です。
それにしても目下の不安は、誕生しすぎた大学院のため「高学歴ワーキングプア」が増産されないかどうか…。しかしながら本筋から逸れるので、それについては別の機会に論じることにします。