今月は対人援助職のストレスと対処方法に関する2冊です。 |
清水隆則・田辺毅彦・西尾祐吾編著『ソーシャルワーカーにおけるバーンアウト~その実態と対応策~』中央法規、2002年
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内容
程々ならば良い刺激となり、重すぎると心身に支障をきたす「ストレス」。「本質的に対象(対象者と問題)の理解とそのよきあり方、価値のジレンマ、また組織・制度との軋轢にストレスをうけやすい仕事である」(p.45)ソーシャルワークの仕事を行ううえでは、上手にストレスとつきあっていかなければなりません。
ストレスが高じると「ストレスにより精神エネルギーが枯渇し、自分が苦しむとともに、利用者へのサービス水準が低下する」(はじめに)「バーンアウト」に陥ってしまいます。
本書は、ストレスやバーンアウトに関する理論面、社会福祉士を対象とした調査結果、予防策を多角的に述べています。
とりわけ興味深いのは、「第6章 社会福祉士のバーンアウト体験―バーンアウトを経験したワーカーの体験から―」です。福祉職であれば、誰もがどこかしらオーバーラップするような経験が何人かの事例にちりばめられており、バーンアウトが決して他人事でないことがわかります。
そして、バーンアウトの対処法がいくつか展開されていますが、最も心に響いたのは、現代社会や社会福祉において「『弱さ』あるいは『機能しないこと』が、援助者であるとか、利用者であるとかでなく、一人ひとりの人として、受け入れられる文化に変わる必要があるのではないだろうか」(p.114)という一節でした。
目次
第Ⅰ部 バーンアウトの理論
第1章 バーンアウトという言葉
第2章 ストレスが引き起こす諸問題
第3章 ソーシャルワークとストレス
第4章 バーンアウトの理論と調査
第Ⅱ部 調査—バーンアウトの現状分析
第5章 社会福祉士のバーンアウト調査
第6章 社会福祉士のバーンアウト体験—バーンアウトを経験したワーカーの体験から
第Ⅲ部 予防策—バーンアウトを避けるために
第7章 ストレスの個人的予防
第8章 組織的なサポート体制
第9章 精神医学からみるバーンアウト症候群
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