今月の2冊・2009年1月 本文へジャンプ
今月は社会福祉援助技術演習の本をご紹介します。

久保紘章編『社会福祉援助技術演習』相川書房、1996年



内容

 私が大学4年生の時に社会福祉士国家資格が制定され、駆け込みで社会福祉援助技術演習や4週間実習を行いました。大学在学中に受験資格が取得できた最初の学年です(歳がバレますね…)。
 その時の演習教員は臨床心理士で、心理的なワークや事例検討が中心だったように思います。とにかく、教員も学生も手探りで演習を行っていた時代でした。
 あれから20年が経過した今、カリキュラム改革により演習の時間が増える方向にあり、演習本は百花繚乱のごとく咲き乱れています。かくいう私も出版しているので、人のことは言えませんが…。 今回は、数ある演習本のなかから使い勝手の良い本を挙げてみましょう。
 なんといってもピカイチなのは、久保先生編集のこの本でしょう。自己理解、他者理解、コミュニケーションと面接、記録、事例研究、グループワークとコミュニティワークと、演習で押さえるべき事項が具体的に盛り込んであり、演習の骨格を作った1冊と言っても過言ではありません。私自身も演習を教え始めた当初は、かなりこの本に学ぶことが多かったです。
 久保先生はすでに病気のために他界されていますが、私達に貴重な財産を沢山残されていったのだなと、本を開く度にしみじみ思います。
 

目次

第1章 自己理解と他者理解
第2章 コミュニケーションと面接
第3章 記録
第4章 事例研究
第5章 グループワークとコミュニティワーク


対人援助実践研究会HEART『77のワークで学ぶ 対人援助ワークブック』kumi、2003年



内容

 この本は、77のワークより構成されたボリュームのある1冊です。大学1、2年生くらいを対象にした導入教育で使えるワークが多数あります。
 一つ一つのワークには、ワークシートやメモ欄がついており、タイトルどおりワークブックとして書き込みができる点がいいですね。大学や養成校だけでなく、福祉の職場でも仲間同士で演習を行う際に活用したい本でもあります。
 このなかで特に好きなのは、「3-4  "違うこと ”と"同じこと ”」で、金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」を読んで感じたこと・考えたことをグループで話し合ってみるという課題です。一つのワークを通して、その先に広がる何かが見えてくるような気がします。そんな創意工夫が1冊のなかに凝縮されています。
  これからもますます演習の内容は進化していき、テキストは増えますが、本当に良い本だけが使い続けられていくのでしょうね。


目次

第 1 章 心ほぐしと自己覚知
    〜アイスブレイクから始めよう〜
第 2 章 ソーシャルワークとは?
第 3 章 価値観
第 4 章 援助的人間関係
第 5 章 コミュニケーションの言語・非言語
第 6 章 面接技法の習得
第 7 章 具体的な実践をふまえた援助の展開・
    〜利用者とのかかわり〜
第 8 章 具体的な実践をふまえた援助の展開・
    〜地域へのかかわり〜
第 9 章 記録・事例研究




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