横山登志子『ソーシャルワーク感覚』弘文堂、2008年
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内容
今回は2冊とも同じ出版社からの本ですが、けっして弘文堂のセールスマンではありません。たまたまこのところ熟読した文献が修正版グラウンデッド・セオリーを活用した研究であり、それが弘文堂から出版されていたということです。
さて、横山さんが提起する「ソーシャルワーク感覚」、すなわち「ソーシャルワークという援助行為に関する行為者自身の意味づけや身体感覚」(p.36)は、どの分野であれソーシャルワークを行っている人が体感していることなのでしょう。言葉にすると掬いきれないけれども、言葉にしないともやもやしたままずっと潜在化してしまうであろう「感覚」の実態を、修正版グラウンデッド・セオリーという方法を使い、見事に照射しています。
研究方法論の面からも学ぶところが多く(とりわけ、p.109の質的データの内的・外的妥当性と信頼性確保の方法など)、説得力のある1冊に集約した力量はさすがです。とても刺激を受け、参考になりました。
何度か私の研究も引き合いに出していただき、ただただ感謝です。いつか私も、横山さんの研究を先行研究として参考にしながらオリジナルな研究成果を発表するので、その時まで待っていてくださいね。それがこの本を読んだ今の、横山さんへの伝言です。
目次
第1章 ソーシャルワーク感覚とは
第2章 ソーシャルワークの援助観
第3章 援助観をつくりだす現場と経験
第4章 PSWの援助観生成プロセス
第5章 結果の考察—先行研究との比較からみたオリジナリティー
第6章 ソーシャルワーク教育への実践的応用にむけて