今回は、「人生の楽しみの半分」を知った最近の出来事です。 |
海のある県で生まれ育ち、食卓にはよく刺身が並べられていたにもかかわらず、私はずっと刺身が食べられませんでした。
あの食感と生臭さが嫌いで、大人になってからも宴席で刺身が出ると、必ず人にあげて感謝されていました。したがって当然お寿司も、玉子かかっぱ巻きか穴子というように、生魚を避けていたのです。
そんな私のことを先輩は、「人生の楽しみの半分」を知らないと言っていました。「安上がりな人」だとも。
そんな私に転機が訪れたのです。それもつい最近。
その日、共同研究者と一緒に函館に調査に来ており、函館在住の調査協力者の方に海辺の回転寿司に連れて行ってもらいました。
そこは海の脇に建っており、海を見ながらお寿司を食べることができます。
その日はよく晴れており、ときおりウミネコが浜辺で遊ぶ、美しい海が眼前に広がっていました。
そんな光景を見ながら恐る恐る口にしたお寿司は全く生臭くなく、というより本当に新鮮で、『生魚ってこんな味だったんだ』ということを教えてくれました。
次々に美味しいお寿司をいただき、『先輩が言っていた人生の楽しみの半分ってこのことだったんだ』とようやく気がついたのです。
それ以降、生魚が食べられるようになった私は、刺身もお寿司も残すことはありません。今では一人でも寿司屋に入れます。
もしかするとまだまだ私の知らない(知ろうとしていない)「人生の楽しみ」があるかもしれないので、折に触れそれらを探していきたいものです。
それにしても、それから私は「お金のかかる人」(?)になってしまいました。
楽しみを享受するには、それ相応の対価が必要なのですね…。
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