私は常々、ソーシャルワーカーは感情労働を行ってるなぁ、と思っていました。けれども、ソーシャルワーカーの感情労働について十分に論述された本がなかったので、看護師の感情労働の本を読みました。
まずそもそも感情労働とは何かということですが、この本のなかではホックシールドの定義を紹介しています。「明るく親切でしかも安全な場所でお世話されていると他者に感じてもらえるような外見を保つために、感情を出したり抑えたりすること」(p.8)です。
そして、看護学生の実習を例にとり、感情労働の実態を述べています。例えば、病棟には病棟において感情面で何をなすべきかという「感情ルール」というものがあり、そのルールは看護の仕事と組織の構築の責任者である病棟師長が決めているというのです。学生達は「自分の感情が病棟の感情ルールによって正当なものと認められない場合、その学生はそうした感情を感じることに対して、ストレスや不安を感じます。そのため学生たちは、病棟という公のアリーナで、実際とは異なった感情的自己を示すよう感情ワークを行う」(p.97)というのです。
果たして、ソーシャルワーカーはどうなのでしょうか。ちなみに、Gerdes and Segal(2011:141)※は、共感的なソーシャルワークはより効果的であるとし、ソーシャルワークにとっての共感の重要性を再評価しています。共感することにより、ソーシャルワーカーがクライエントの感じていることを自身が感じるようにすることで、クライエントについて多くを学ぶためです。感情労働と言ってよいのかはわかりませんが、このようなソーシャルワーカーと感情との関係は、もう少し深めたいところです。
※Gerdes,K. and Segal,E. (2011) Importance of Empathy for Social Work Practice
: Integrating New Science,Social Work,56(2),141-148.