N・ベントマン著、西尾祐吾監訳『アドボカシーの理論と実際〜社会福祉における代弁と擁護』、八千代出版、
1998年
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内容
この本を買って目を通した1998年は、まだ介護保険が始まっておらず「アドボカシーって何???」という状態でした。言葉だけは聞いたことがあっても、実際に制度や仕組みとして日本に根付いていない時代のなかでは、遠い国の出来事のような気がしていたのでした。
しかし、今日では「アドボカシーとエンパワーメント」がソーシャルワークのかけ声になり久しく、権利擁護の仕組みと共にこの言葉が浸透してきました。そんななか再びこの本を見てみると、とても具体的なアドボカシーのスキルが紹介されており、「実践場面で使えるじゃないか」と今さらながら思うのでした。
ここでのアドボカシーとは「クライエントの権利のために戦うこと」(p.212)であり、アドボカシーを行うアドボケイトの中心的スキルは、面接、主張、交渉、自己管理、法的リサーチ、訴訟(p,84)です。先程から登場してきている「交渉」のスキルについては、交渉に際しての準備で行うこと、実際の交渉で行うことのリスト(p.125)のみならず、練習問題までついています。やはりスキルは使えなければ意味がないのでしょう。
この本の出版後にアドボカシーの本は多数出版されているようですが、原点に戻る際にはお薦めの1冊です。
目次
第1部 背景
第1章 アドボカシーとは何か、そして、なぜ必要なのか
第2章 原則
第3章 アドボカシーの実践
第2部 アドボカシーのスキル
第4章 序論
第5章 面接
第6章 主張および攻撃の建設的な用法
第7章 交渉
第8章 自己管理
第9章 法的リサーチ
第10章 訴訟
第11章 アドボカシーの構造
第12章 終章―これから