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次は、市内観光に出かけましょう!


 ストックホルムの朝です。湖から登る朝日が町中を照らします。教会の鐘の音がなるなか、人々は家庭や街角のカフェで朝食をとります。
 働きに出る人たちは、ストックホルム市内を縦横に走る地下鉄のなかに吸い込まれていき、駅ではおじさんがタウン情報誌を無料で配っていました。ギターをもったロシア系の移民が、哀しい祖国の音楽を奏でている駅もあります。どの駅も、独自のデザインで飾られ、さながら美術館のようです。なかにはシェルター機能のある頑丈な作りの駅もあるのです。
 日本でも、遠く離れたストックホルムでも、平等に朝がやってきます。そう、世界のどこにも、明けない夜はないのです。

 まずは市庁舎に行ってみましょう。クングスホルメン島にある市庁舎には、ノーベル賞授賞式が行われる大広間ブルーホールがあります。広びろとしたお部屋では、授賞式の後に晩餐会が行われます。ブルーホールの真ん中に立つと、ここで幾人もの受賞者たちがひと時を過ごしたのかと、感慨深い気持ちになりました。
 市庁舎の中には数えきれないほどの部屋があり、全てが伝統的な装飾品や絵画で飾られており、なかには歴代の王様や女王様の肖像が飾ってあるお部屋もありました。また、隔週月曜午後に市議会が開かれる現役の会議場では、議長を真ん中に右派と左派が分かれて座るようになっています。
 写真は、市庁舎の尖塔を写したものです。残念ながら写っていませんが、てっぺんにはこの国を象徴する3つの王冠が飾られています。湖のほとりに建つ市庁舎は、穏やかなストックホルムの象徴なのです。

 次に、ガムラ・スタン(旧市街)に行ってみましょう。ガムラ・スタンの岡の上には、お城があります。お城は常に数人の衛兵によって守られており、写真はちょうど衛兵の交際時の行進を写したものです。皆、背が高く鼻筋が通っているナイスガイばかり。ということをガイドさんに話したら、「数ヶ月もいれば目が慣れてきて、見分けがつくようになるから」と言われました。また、お城には本物の大砲もあり、見物することができます。
 ガムラ・スタンはお洒落な町です。沢山の土産物屋にカフェやレストラン、協会などがあります。細い路地は、真ん中が盛り上がって両端に側溝があります。これは、まだ下水道が完備されていない時代に、各家庭からの汚物を側溝に流して、歩行者は道の真ん中を歩いたためとのことでした。在りし日の面影が、町のところどころに残っているのです。
 4回目の旅行で、ガムラ・スタンにある土産物屋で、バイキング姿の熊のぬいぐるみを買いました。北欧でしか手に入らない貴重な「彼」は、私と目があった瞬間に「僕を日本に連れて行って」と訴えてきたので、我が研究室の一員として日本で暮らすことになりました。

 少し眺めの良い場所から、市内を見渡してみましょう。ストックホルムは水の都です。14の島から成り、周りは海や湖に囲まれています。市の面積の13パーセントを水が占めており、「北欧のヴェニス」とも称えられているのです。
 岡の上からは、対岸に遊園地やタワーが見えるので、これからあそこに行ってみようと計画を立てる助けになります。
 写真は、よく晴れた日に撮ったベストショットです。私は4回とも冬に訪れているので、曇っていたり雪が降っていることが多いのですが、晴れた日の眺めは『この世にこんなに美しい場所があるのか』と思えるほど素敵な景色です。
 やはり景色だけはその場に行かないと生で見られないものなので、ストックホルムに行った際には、ぜひ高台から市内を眺めることをお勧めします。
 

 次に、校外まで足を伸ばしてみましょう。かつては王室の夏の別荘として使用されていたドロットニングホルム宮殿です。
 子どもの頃に『ベルサイユの薔薇』が好きで、女王様が住んでいるお城に憧れたものですが、まさにその世界がここにありました。バロック様式の宮殿に広い庭、庭のなかには中国のお城もあります。夏には、きっと色とりどりの花が咲き乱れることでしょう。
 庭を散策していると、どこかから甘く香ばしい匂いが漂ってきました。庭のなかにスウェーデン名物のワッフルを焼いているカフェがあるのです。さっそく、ワッフルとお茶で優雅な時間を過ごしました。ワッフルには、私がずっと捜し求めてやまなかった美味しい生クリームを添えていただきます。
 ほんの一時だけ、お城の住人になったような素敵な昼下がりでした。

 さて、観光の最後にはストックホルムから特急に乗って40分の、ウプサラに行ってみましょう。この町はスウェーデン大司教の本拠地であり、大学街でもあります。
 スカンジナヴィア最大のウプサラ大聖堂が、町の中心にそびえ立っていました。教会の中に入ることもでき、皆、自由に写真を撮っています。
 また、15世紀に創立された名門ウプサラ大学もあり、植物学者リンネらを輩出したそうです。町には古代ルーン文字の碑が立っており、歴史の古さを感じさせました。
 ウプサラの雰囲気はストックホルムよりも地味ですが、脈々と昔からの遺産を今に語り継いでいる重厚な趣のある町でした。
 少し足を伸ばして校外に行ってみるのも、いいものですね。
 


 そしてまた、夜のストックホルムに戻ってきました。
 冬季は日が暮れるのが早く、17時には夜の帳がおります。デパートやお店は早めにしまってしまいますが、ショーウインドウはライトアップされ、様々な商品が自己主張しています。夜の町の楽しみの一つでもあります。
 そして、まだまだ楽しいことは沢山あります。町の人たちが集まるバーやナイトクラブ、そしてオペラ観劇。4回目の訪問の時に、初めてオペラに行きました。といっても、イタリアのそれではなく、大道芸人やダンザーたちが様々な出し物をするというエンターティメント。日本のディナーショーのようなものでしょうか。食事をしながら、23時頃までショーは続きます。そして、その後はディスコ・タイム。ダンス好きな私たちはしっかり最後まで踊り、地元の人たちと交流をはかってきました。私に寄ってきたおじさんと片言の英語で話しながら、日本の盆踊りを一緒に踊りました。
 こうして、ストックホルムの夜は更けていったのです。


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