私の大好きなスウェーデン・ストックホルムをご紹介します。
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<リッダー湾に面している市庁舎の中庭〜ストックホルムで私が一番好きな場所です>
私が初めてスウェーデンに行ったのは、今から20年近く前の大学院生の頃でした。当時、大熊由紀子さんの『寝たきり老人のいる国・いない国』という本が流行っており、北欧は福祉先進国というイメージが日本で広まっていました。
果たして、本当にそうなのかを確かめるために、旅行社の中3日間の自由時間がある企画ツアーを選び、中3日間はスウェーデン在住の日本人の方にコーディネートしてもらい、ナーシングホームや補助器具センターに見学に行きました。学部生に呼びかけ、十数人のメンバーを集めて旅立ちました。私にとっては、初めての海外旅行。実はそれ以前に、初めての飛行機体験でもあったのです。アンカレッジ経由で16時間かけての空の旅でした。
ナーシングホームを訪問したとき、それまで日本の特別養護老人ホームで何度か実習をしていた私にとって、そこでの光景はかなり衝撃的でした。私の中の老人ホームのイメージは、利用者が皆、同じツナギ服を着て、散切り頭にし、食事の時間はおかゆに全てのおかずを混ぜて食べさせる、というものだったからです。
ナーシングホームの利用者は、皆、綺麗に着飾っていました。女性であれば化粧は当然のこと、大きな真珠のネックレスやダイヤモンドを身につけ、車椅子にのっています。かなりの認知症の男性も、背広にネクタイ姿の紳士でした。さらに、一人一人のお部屋が広いこと!!部屋に飾ってある家族の写真や生花も素敵でした。もちろん、ペットと同居している人もいます。
カルチャーショックは施設だけに終わりません。夜、車椅子を使っているメンバーと共にディスコに行ったとき、東洋人が珍しいのか周りの人が寄ってきてくれて、車椅子のハンドルを持ちながら一緒に踊り始めたのです。当時、今ほどバリアフリーが浸透していなかった日本では、車椅子の人がディスコに行くなんて考えられないことでした。この夜は、かなりエキサイティングな時間を過ごすことが出来ました。調子にのって、太極拳の型を取り入れた創作ダンスを披露してきました。
さらに、美しい町並みにも魅了されたものです。建物の高さが揃っており、色合いも調和が取れたものばかり。日本のようなネオンサインは見つけることが出来ませんでした。日本に帰ってきたとき、懐かしいというよりも町並みの無秩序さにガックリきたものです。
さらにさらに、スウェーデンの料理、特に生クリームとチョコレートケーキを食べた時には、この世界でこんなに美味しいものがあるのか!!と衝撃の連続でした。生クリームに目がない私は、それ以来、日本で「あの味」を探し続けましたが、出会えませんでした。再びスウェーデンに行くまでは…。
その時の私にとって、まさにスウェーデンは「夢の国」だったのです。
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以上が私の初スウェーデン体験です。今振り返ると、初めての外国ということもあり、良いところしか見えませんでした。まさに「刷り込み」状態ですね。
それから3回、自分でスウェーデン研修旅行を企画して実施することで、今はもう少し冷静になって、スウェーデンという国の光と影が見えてきました。
そして今では、そこに住む人々は私たちと同じ「生活者」なんだという感覚に至り、私にとっては「夢の国」ではなく、とても心理的距離が近い「隣の国」になりました。
そんなスウェーデンでの一コマ一コマを、これから徐々に綴っていきたいと思います。
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